2007年02月08日

No.18【ウサギはなぜ嘘を許せないのか?】マリアン・M・ジェニングス[著]

「 こんな行動、身に覚えはありませんか?
会社のソフトウェアをコピーし、自宅で使用。
(著作権侵害)
気に入らない部下の一人を徹底的に無視している。
(パワーハラストメント)
ブログに会社の愚痴を書く。
(就業規則違反)
もともと1万円の商品を「定価2万円を半額で!」と宣伝して販売。
(景品表示法違反)
ホームページの文章をコピペして、社内プレゼンの資料に使用。
(著作権侵害)



すべて、コンプライアンス違反の危険性があります。 」


ウサギはなぜ嘘を許せないのか?
ウサギはなぜ嘘を許せないのか?
マリアン・M・ジェニングス


今回は、コンプライアンスについて考えて見たいと思います。ご紹介する本は、【ウサギはなぜ嘘を許せないのか?】。黄色い表紙と読みやすそうな100ページちょっとの薄さは、以前ベストセラーになった「チーズはどこへ消えた?」と似ていて、書店で手に取った方も多いと思います。

 コンプライアンスについては書店に行けばたくさんの本を見ることができますが、この本はビジネス小説です。日本版監修の山田真哉氏は「まえがき」の中で読者へ次のようなメッセージを送っています。

 「この本はビジネス小説ですので、実践的なものではありません。つまり、コンプライアンス体制確立のための手続きとか、細かい法令がわかる本では決してありません。しかし、読み終えた後には、そこから何か得られるモノがあるはずです。私を信じて、最後まで読んでみてください。」

 題名からウサギが出てくるのだろうと予想はつきますが、出てくるのは「アリストテレスを愛読する大ウサギ」というちょっと変わった設定です。大ウサギ・アリは主人公エドの前に現れ、エドが正直ではない、間違ったことを許したり受け入れようとすると前足で容赦なく攻撃し、正しい行動を取らせる、というおかしなストーリー。エドとアリの物語は最後まで飽きることなく読むことができると思います。

 また各章には扱うテーマと著者の主張(ウサギの教え)、そして小説とは別に「コンプライアンスが身につくここだけの話」というコラム、という構成になっています。どれも参考になる内容ですが、例えばそのうちの「Part5 嫌われてもモラルを主張する必要があるのか?」は次のような内容です。                 

 まず、テーマに対して、ウサギは「声を上げなければ誰にも聞こえない。事態は改善に向かわない。」と答えています。そしてテーマにそった内容の小説が展開し、最後の「ウサギの教え・5」では次のように述べています。       

「何も言わないことによって引き起こされる結果は、声をあげることによって引き起こされる結果より、つねに深刻である。」

 この部分は、仕事においてとても重要であると感じました。不正に対して声を上げることはもちろん、ちょっとしたお客様のための業務改善であっても、やはり声を上げて意見を戦わせることは重要です。また、友人関係や夫婦関係など、あらゆる人間関係の基本ともいえます。

 長く会社にいる人は、これまでの会社のやり方に慣れていて、効率の悪さ、お客様が不便している方法、ひょっとすると不正にさえある意味で「鈍感」になっている場合があると思います。外部から来た人間はまずその部分に目が行きます。この小説の主人公エドも勇気をもって(というか、ウサギに脅されて)声をあげ、結局は会社を何度も退職(もしくはクビ)になってしまいます。

 それでも正直を貫き通した方がいいのか、というのはとても重いテーマです。この小説では、仲間たちがやすやすと成功を収めていくなかで、エドは長い間非常に苦労しつづけます。しかし、最終的には・・・、エンディングはだいたい想像がつくと思いますので、ちょっとネタバレですが書いてしまうと、エドは(やはり)成功します。比較して、最初成功していたかに見えた「短距離走者」の仲間たちはいずれも失敗する、というわかりやすい構図です。

 この結果について監修者の山田氏は解説の中で次のように述べています。

「この本は小説なので、『上手に成功しました』というお話です。やはり半分くらいの方は、『小説だから、フィクションだからこういう都合のいい展開になるのだ』と思うでしょう。ただ、仮にこれがノンフィクションだとしても、『あの人は特別だよ』とか、『すごく運がよかったね』という話になると思います。
 結局、フィクションだろうとノンフィクションだろうと、自分に関係ないと思ったら本当に関係なくなります。ですから、この小説を読む際にも、四の五の言わずに自分の状況に置き換えて考えたほうがいいと思います。そして、実際に正直な行動を起こすことが大切です。」

 そういえば日本でも、ちょっと前に世間を騒がした「やすやすと成功を手に入れる短距離走者」がいました。今は裁判中でしょうか・・。この小説はフィクションですが、似たような話を現実の世界でたくさん見つけることができます。法令遵守という意識が乏しいために会社の存続まで危ぶまれている企業がたくさんありますし、過去に正直さを貫いて危機を脱し、逆に世間の信頼をそれまで以上に勝ち取った企業も見つけることができます。

 今後、コンプライアンスはますます重要性を増していくことは間違いありません。経営には欠かせない必要条件となっていくでしょう。実際にはウサギのパンチは飛んできませんが、正しさを貫く強さは身につけていかなければならないと思います。

 

posted by T.Sasaki at 00:29| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ■コンプライアンスについて考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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