2007年01月03日

No.13【利益を生み出す主婦パートを育てるすごい方法】鈴木 ゆかり・関 美分[著]

 「著者である私たちは2人ともパート社員です。・・・(中略)・・・私たちは、経営コンサルティング会社で、社員研修の講師を主要業務にしています。また、社内では新人の指導係も担当しています。あくまでもパート社員ですから、ふだん働く時間は午前9時30分から17時までです。夕方の6時には家に帰って家事をしています。私たちの勤務時間は、出産前は9時から15時、子供が大きくなった現在は、9時30分から17時というように、そのときの状況に合わせて、働く時間を選択しています。
 私たちは、研修の講師として出向いた先で、よく『えっ、パート社員なんですか?』と驚かれてしまいます。」



 今回ご紹介する本は、パート社員の戦力化について、これまでに無いアプローチで非常にわかりやすく解説されている本です。パート社員の戦力化を考えるとき、賃金体系や労働時間などを、社会保険や雇用保険、労働基準法の観点から論じた本は数多く出版されています。無論こうした法律論に基づく労務管理も重要ではありますが、この本はそうした法律論ではなく、これまで自社で培ってきたパート社員の戦力化のノウハウを公開するものです。

 まず驚くのは、この本を執筆された著者の方自身がパート社員である、ということです。そして本まで出版してしまう意識の高さについて、著者は次のように語っています。
 「・・・では、もともと私たちは、“意識が高い”と言ってもらえるパート社員だったのでしょうか。答えは『いいえ』です。
 鈴木は家から自転車で通えるという理由で、関は経理ができるようになりたいという理由で入社しました。最初のスタートはこんなものです。しかしながら、総務・経理から始まり、営業を兼務する研修の講師と仕事を経ていくなかで、次第に『利益を生み出すにはどうするか』という意識が生まれてきました。」

 つまり、仕事をしていく中で、その仕事に対する意識も高くなり、最終的に利益を生み出すにはどうするか、までを考えるパート社員になっていった、ということなのです。詳細な過程は本書の中で語られていきますが、主な理由としては次の言葉に集約されていると思います。
 「うまくいっているものには必ず仕組みがあります。その仕組みははじめからあったものではなく、少しの変化が結果を生み、試行錯誤を重ねるなかで仕組みとして確立してきたものです。本書では、仕組みをうまく活用することで、利益を生み出すパート社員を育成する方法を書きました。」

 この本では、現在のパート社員の意識改革、いい人を採用するための方法、採用した人を育成するための研修制度、業績を評価するシステムなど、「うまくいっている仕組み」が書かれています。社内の体制をすべて整えるだけでなく、採用の段階からいい人を採用する仕組みが必要であり、そのためには「とりあえず人手がほしい」という理由で不定期に採用するのではなく、計画的に採用することが必要である、とのこと。
 
 この採用についての部分は、非常に重要であると感じました。なぜなら仕組みを整えても、「10数年にわたってパート社員の教育を行っていきましたが、根本的に考え方が違う人に会社の業務を理解してもらい、協力してもらうことは難しいのです。採用の段階では、まず、こちらの思いに賛同してくれる人を採用しなければなりません。」という著者の言葉どおり、“私はパート社員だから、仕事はここまででいい”と考える人はこの本でいう、「利益を生み出すパート社員」にはなれない、ということなのです。
 実際、著者の会社においても、トップの意向に添えない人は結局ほとんどの場合やめていくことになったとのこと。

 採用については、応募したいと手を上げてもらう方法や、いつ、どの媒体に募集広告を載せればよいか、また募集広告の内容「子供の病気・行事等につきましては優先いただいて結構です」と明記されていることなど細かく書かれています。また面接の手順については、会社がパート社員に求めていることが書かれており、この段階で非常に高いレベルを要求していることがわかります。

 こういった努力の末に初めて会社の求めるパート社員が採用できる、というわけです。もちろん、これだけでは終わりではなく、「子供の病気・行事等につきましては優先いただいて結構です」という募集広告どおりの環境が整備されていることはもちろん、入社したパート社員については、2週間のOFF−JT(職場外教育)が行われるとのこと。

 パート社員に2週間のOFF−JTを行っている会社は、実際にはほとんどないと思いますが、その効果については、
 「これは、一見遠回りのようですが、私たちが、パート社員の戦力化に成功した要因のひとつなのです。」

 そしてOFF−JTの目的については、著者は以下のように述べています。
「会社の業務内容やルール、マナー、期待していることなどの『会社のものさし』をパート社員にしっかりと理解してもらうのです。『会社のものさし』を理解していないと、『自分のものさし』で行動してしまい、そこに問題が発生するからです。」

 この本で述べられているパート社員の活用のノウハウは“主婦”に限定されていますが、現在主婦のパート社員を雇用している企業であれば、非常に参考になると思います。とくに中小企業の経営者の方については、人件費や社会保険料の面から、「利益を生み出すパート社員」は非常に魅力的なはず。ぜひこの機会にパート社員の戦力化を検討されてはいかがでしょうか。

posted by T.Sasaki at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ■パート社員の戦力化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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