2007年02月15日

No.19【「できる人」を逃さず採用する方策】谷所 健一郎[著]

 「人を採用するということは、応募者の心理、キャリア目標、夢を掌握し、彼らの心を動かすことだ。そのためには、企業も自社の主体性を高め、応募者の心に響くメッセージを発信する必要がある。

 採用は、営業職に共通する考え方が必要だと私は考える。「販売」する行為のなかで、顧客と信頼関係を構築できない営業職は、売上を伸ばせない。採用も同様で、応募者に共感し、信頼関係が築けなければ、応募者はこちらを将来を委ねる企業だとは考えないのだ。

 求人難だから、人が採れないのではない。企業規模が小さいから、人が採れないのではない。人事担当者の採用に対する認識が、応募者の求めるものと合致していないことが大きな原因なのだ。



 今回は採用について学んでいきたいと思います。書籍のご紹介の前に、これまで学んできた中で、採用に関する考え方をまとめてみましょう。

 No.12 【「3年目社員」が辞める会社辞めない会社】では、「・・・現在どんなに優れた人材がいる会社でもやり方が悪ければ人があっと言う間に去っていくし、逆に現在は小さくて知名度の低い企業でも、やり方さえしっかりすれば優秀な人材が集まって、飛躍できる時代になった」とありました。これは逆に言えば、企業を飛躍させるには、採用や教育、人事制度などの“やり方”をしっかりして優秀な人材を集めることが必要だ、ということになります。

 またNo.13【利益を生み出す主婦パートを育てるすごい方法】で著者は、「10数年にわたってパート社員の教育を行っていきましたが、根本的に考え方が違う人に会社の業務を理解してもらい、協力してもらうことは難しいのです。採用の段階では、まず、こちらの思いに賛同してくれる人を採用しなければなりません。」といっています。

 この本ではパート社員への2週間にわたるOFF-JT(職場外教育)の重要性が述べられていましたが、その教育効果を最大限に引き出すために、まず採用という“入り口”についてどのような人材を採用するのかを明確にし、計画的な採用を行う中で「こちらの思いに賛同してくれる人」を採用すべきと主張しています。

 これらの観点から、しっかりとした戦略に基づく採用は、人事制度や教育制度と一体となって人材の生み出す成果につながっていく、と考えます。今回ご紹介する書籍は、採用について著者が 「私の20年に渡る採用経験から、採用に必要な知識、テクニック、戦略をあますことなく記載した」とのこと。本書の序章で著者は次のように主張しています。

 「今後求人難の時代が続くなかで、優秀な人材を採用する企業とそうでない企業とでは、近い将来、企業業績に大きな差が生まれる」、「求職者が興味を示し、『入社したい』と思うような採用戦略を、構築していく必要がある」

 著者は、採用を担当する人事に厳しい責任感を求めています。本章の中でも、人材を採用できないことへの責任について、「人事は、経営の根幹になる人材について携わっているのだから、目標を達成できないけれども仕方がないとする社内体質では、許されるわけがないのだ。営業と同じく、結果を評価されるべき部門である」とし、スペシャリストとして最大限に努力すべきとしています。

 そしてこの求人難の時代、中小企業が大手企業と同じような旧態依然とした採用活動で、求職者を“選んでいる”というような感覚では「できる人」は採用できない、としています。中小企業は大手企業とはちがう強み、例えば昇進や昇給の柔軟性等を持っているわけですが、その強みをアピールする前の段階で、まず採用手法から大手企業とは違う中小企業ならではの機敏な戦略を考えるべき、というわけです。

 経営陣の人材に対する姿勢についても明快な主張をしています。                                             「人材の大切さを理解していない企業は、社員にサービス残業や、休日出勤を強要し、嫌なら辞めればいいというスタンスで社員を管理している。このような企業に、誰が一生貢献したいと思うだろうか。」

 この部分は非常に重要であると思います。実際にはここまでひどい考え方を経営陣が持っているわけではなくても、社内でサービス残業が行われている現状を把握しながら何も手を打たない、というのは社員にたいして上記と同じように「嫌なら辞めればいい」というメッセージを送っていることになるのです。
 そしてせっかく時間と労力を使って良い人材を採用しても結局は定着せず辞めていってしまう、ということが延々と繰り返されることになります。しかもこの場合は経営陣に自覚がない分だけ状況は深刻です。

 この部分をクリアしていかないと、この本の知識やテクニック、戦略をいくら実践しても、結局は「できる人」が社内に定着しない、つまり業績が伸びていかない、ということになります。この問題は、相手が経営陣だけに、人事部としてはかなり難しい問題になります。しかしこれに対しても著者ははっきりと次のように述べています。

 「・・人事は、社員定着率、採用経費、労働生産性の低下など、数値面をおりまぜながら、今後の人事戦略について、経営陣に理解を求めるべきなのだ。すべてをすぐには解決できなくても、よい企業風土を目指す人事の意識は、間違いなく既存社員や応募者に伝わるはずである。」

 またこのことについて、第8章のQ&Aで次のようにも述べています。                                  「・・・大切なのは、人事としてどのような戦略で取り組んでいきたいか、具体的に提示することです。労働環境、待遇面が他社より劣るために採用が難しい場合は、改善案まで提案しなければ、プロの人事とはいえません。」

 本書では上記のような本質論とは別に、求人サイトや人材紹介会社の活用方法などの求人の方法についての記述や、面接での注意点、求人広告の反応をあげる方法など、いわゆるテクニックの部分についても数多く記載しています。この点で、人事担当者としては非常に役立つ情報を一挙に得ることができるのではないでしょうか。

 本書で学んだことを活用し、これからの求人難の時代、“行き当たりばったり”の採用から戦略的な採用へシフトし、ぜひ飛躍をしていきましょう。
タグ:人事 求人 採用
posted by T.Sasaki at 01:06| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ■求人難の時代の採用戦略 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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