2007年01月10日

No.14【社長!その就業規則ではヤバすぎる】 山田 順一朗[著]

 「・・・経営者が忙しいのは、私も十分に承知しています。しかし事前に手を打っておくことでリスクは大幅に軽減され、冷や汗もかかず、苛立ちもせず、役所にも呼び出されず、社員に職場でつるし上げられることもなく、大切な運転資金数百万円をムダにしないですむかもしれないのです。・・・(中略)・・・このなかで一つくらいは、あなたの会社でも起こりそうなものがあるのではないでしょうか。もしあったなら、会社の金庫に眠っている就業規則を引っ張り出して、関連する規定がどう定められているのか確認してみてください。この本に登場する肩を落とす社長と、あなた自身の姿が妙に重なって感じられるかもしれません。
 まずは今日、古い就業規則を金庫から引っ張り出すことから始めましょう。」


 この本はストーリー仕立てになっており、読者の方に苦悩する社長の立場を疑似体験してもらう、という構成になっています。
 実は、この本のネーミングから実務書よりもすこし軽いイメージを抱いていたため読むのを敬遠していました。しかし、なぜか気になり書店で手に取ったところ、裏表紙の帯のところに書いてある本書の概要、下記の8つのストーリーが目に留まりました。

 ■トラブルストーリー1.採用トラブル
   見習い社員、入社一五日目に豹変!!
 ■トラブルストーリー2.ネット管理とプライバシートラブル
   彼氏へのメール、弟へのメール
 ■トラブルストーリー3.育児休暇拒否トラブル
   女性社員に総すかんされた三代目の若社長
 ■トラブルストーリー4.年棒制の残業代トラブル
   流行りの年棒制の落とし穴
 ■トラブルストーリー5.休職規定トラブル
   社員五人の会社で休職二年!
 ■トラブルストーリー6.セクハラ・パワハラトラブル
   社員の気持ち、父の気持ち
 ■トラブルストーリー7.解雇トラブル
   労働法を勉強する不真面目社員
 ■トラブルストーリー8.退職金規定トラブル
   ベテランパートタイマーが退職金を要求してきた! 

 実際にありそうな話です。私が会社員時代に勤める会社で同じようなケースを見たこともあり、このストーリーが身近に感じられました。また、「労働法を勉強する不真面目社員」というのもおかしくて、読んでみよう、と思ったのです。

 読後の感想としては、本書の狙いである「苦悩する社長の立場を疑似体験」し、労務管理の必要性、とくに就業規則の重要性を喚起する、ということについて成功していると思います。もし私が社長であれば、この本に紹介されているトラブルの一つでも経験したくないと思いましたし、自社の就業規則が整備されていなければ心配になってすぐに引っ張り出してきて確認すると思います。
 
 私は職業柄、当然に就業規則の重要性は理解していますし、知識も持っていますが、それでもこの本のストーリーは読み物として良く出来ていて最後まで飽きずに読むことができました。トラブルの内容に多少誇張もあるのかもしれませんが、趣旨から外れることなく労務管理の重要性は十分に理解できる内容になっています。

 法改正により就業規則の重要性は非常に高まっています。著者の言葉を借りれば、「就業規則は強力な『会社防衛ツール』であると同時に、強力な『社員へのメッセージ発信ツール』であり、『社内円滑化ツール』でもある」とのこと。

 本書のプロローグの中の「悪い仕組みが『天使』を『悪魔』にする」には、下記のように書いてあります。
「・・『社員はトラブルのモト』などと決めつけてはいけません。もちろんなかにはタチの悪い悪質な人物もいるかもしれませんが、どんな社員だって基本的には『活躍したい』『役に立ちたい』『評価されたい』と思っているのです。
 ところが多くの中小企業の現場では、『活躍するための適所に配置されていない』『何をすれば役に立てるのか、何が求められているのかが示されていない』『誰がどんなふうに評価して、がんばるとどんなカタチで報いてくれるのかが示されていない』といった状況があります。そこに社員は困惑し、やがて不満を抱えるようになっていきます。」

 つまり上記のような状況に不満をもち、普段文句も言わず勤務態度もマジメな労働者が何かの際に不満が爆発し、トラブルに発展する、ということなのです。
 現代は、このメルマガで以前ご紹介させていただいた、(No.12 【「3年目社員」が辞める会社辞めない会社】森田英一[著])で学んだとおり、人材流動化時代です。
 会社を辞めることが前提で入社し、特に会社に不満が無くても、『他の会社で通用する能力が身についた』といって退職し、または『この会社では自分を成長させてくれる教育環境がない』という不満をもってやはり退職してしまう時代なのです。

 そのような時代、雇用関係を昔よりも遥かにドライに考える労働者が増えていることは容易に想像できます。実際、本書のトラブルのような労働争議は年々増加傾向にあるのです。義理や人情、暗黙の了解などは役に立たず、書面で契約を取り交わすことによって初めて、労働者に経営者の意向に沿うように働いてもらえるのです。

 経営者の方であれば、本書を読むと背筋がゾっとすること請け合いです。「私ならこんな馬鹿な対応はしない」とか、「この労働者はヒドすぎる」とか、いろいろと感想を持つと思います。そして最後には自社の就業規則が心配でしょうがなくなるハズ。ぜひ一読をオススメいたします。
posted by T.Sasaki at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ■就業規則が必要な理由 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/32044659

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。